【安全第一】IDOLのブレーキ交換【よろしくメカドック】
かつて、少年ジャンプで「よろしくメカドック」という漫画が連載されてました。
(次原隆二 集英社)
よくあるカーレースもの…では無く、レースシーンだけでは無くパーツの強化や交換…いわゆるチューンナップについてもフューチャーした漫画でした。
車ものの漫画だとそれ以前なら「サーキットの狼」、後なら「頭文字D」が有りますが、ちょうどそれらを足して割ったような内容?時期も中間期だし…あ、「湾岸MIDNIGHT」は結構近いか…。
(楠みちはる 講談社)
前置きが長くなりましたが、今回のお題はロードバイクのチューンナップ(パーツ交換)のお話です。
私のDE ROSA IDOLはメインコンポは105ですが、一部コストダウンのため、グレードが落とされたものが装着されています。
所謂、ミックスコンポと言われるものです。
このバイクの場合、クランクとブレーキがティアグラ相当またはティアグラが装着されています。
クランクは重さ以外は、あまり大きな差は出ないようですが、ブレーキはグレードの違いでかなり変わると思います。
実際、付いていたティアグラのブレーキは、減速はするのですが、すぐには止まってくれない。
ブラケットからレバーを握る、所謂、上ハンからのブレーキングの場合、結構スピードが出ているところから、レバーを握り込んでも、ガッ、ガガッ、ガッ、ガッ、ガッ、スゥー…という感じでブレーキ中は振動でブレながらようやく止まると言う感じです。
もちろん低速(20km未満)では、そんなことはないけど、減速しながら止まる感じは一緒。
シュー………ストッって感じ。
下ハンからレバー握ると上ハンよりかは効きは良くなりますが、傾向としては同じ。
平地でのスピードコントロールには問題無いのですが、急制動はやりづらいです。
それでも街中ならスピードも出さないし、早めのブレーキでなんとかなってますが、国道などある程度、交通の流れに沿ってスピードを出す状況や長い下り坂からのブレーキは、スキッドによる振動も相まってかなり怖い。
バイク自体の重量は現在、色々着けても9kgちょいとまだまだ軽いとは言え、乗ってる人間は70kg超で、そこにサドルバック等のアクセサリー類や荷物が入ると10kgほど追加。
9+75+10≒100kg近い物体が、時速20〜30km、いやそれ以上の速度から倍力装置無しで止まろうとするわけですから、それなりのストッピングパワーは必要。ティアグラだと荷が重いのかもしれません。
ロードレーサーとして、エンジンさえ高性能なら、それなりのスピードを出せるスペックを有しながら、その重力を受け止めるブレーキの無いアイドルは、メカドックで例えるなら、東條 誠のハイギヤード ピアッツァ。※
納車後500km未満ですが、流石にこのまま乗り続けるのは怖いため、ブレーキの強化に着手しました。
今のバイクのブレーキを強化するには2通りあります。
①単純にブレーキASSYのグレードを上げる
②シューを効きの良いのに変える
安上がりなのは②ですが、今回の場合はそうもいかないわけが。
ティアグラのブレーキシューは、ブラケットと一体のため、シューのみの交換ができません。
効き悪さの原因がシューだとすると、メーカー非推奨ですが、上位機種のカートリッジタイプ(ブラケットとシューが別個のもの)に交換する必要があります。
これ自体は片輪分で1,200〜1,300円なので取り敢えず試すには良いのかも知れませんが、先述の通りメーカー非推奨です。
安全のためにブレーキ強化に着手するのに、先人達が検証しているとは言え、ちょっとそれはどうかなと。
それに制動性能は、ブレーキ本体の剛性も関係あります。
キャリパー自体が肉厚のがっしりしたものは、ホイールからのストッピングパワーを受け止める能力が高いです。ティアグラは曲線的で、見た目は好みの形ですが、華奢にも見え剛性がそれほど高くは見えません。
やはり、ここは定石通り、①のブレーキ部品のアップグレードでいきます。105なら他の部品とグレードを揃える事が出来るし。
105には現行のR7000番と1つ前の5800番が有りますが5800番は生産中止でまだ販売しているものの価格が高騰気味。
アイドルに付いている105は5800番ですが、現行のR7000の方が割安だし、5800番のパーツとの互換性もあるためそっちにしました。
注文はamazonで。当日朝に注文し、帰宅したら届いてました。
ミドルアッパーグレードですが箱は普通のシマノの箱入り。専用の化粧箱はアルテグラから。
中身。
フレームに付いていたティアグラを外して比較。
105の方がマッシブ。ティアグラの方が曲面が多く女性的。
細めのクロモリフレームなんかはティアグラの方が似合いそう。
上から見たところ。
105の方が厚みがあります。
ティアグラは全体的に細身。
キャリパー本体のボリュームを見ても105の方が剛性がありそうです。
取付は比較的簡単です。
ブレーキワイヤーのカシメを取って、ティアグラを外して、代わりに105を仮止め。
で、適当なテンションで、105にワイヤーを止めて、ブレーキ握って、センター出しをして、トルクレンチで本締め。あとは、ブレーキ部にあるアジャスターで調整する。
それとリムのブレーキ面と平行になるように、キャリパーの位置決めをしてやる。位置決めの際、シューの後方に折った付箋を、シューとリムに挟みながらシューを本締め(トーイン調整)してやる。
フレームがグレー/ブラックなので以前のティアグラも悪くなかったですが、105は色が黒なのでより締まって見えます。
とりあえず乗り出してみてブレーキが正常に動くか確認した上でサイクリングロードでテスト走行に。
平地ですが、20kmくらいまでの速度の場合は大きな違いはありません。普通にブレーキかける場合はどちらもシューッ…ストッと止まります。若干105の引きが軽いような…。あと最期の止まるときが105の方がしっかり止まるような…ティアグラは前に進もうとする余韻を残しながらスルッと止まる感じです。
30km以上からだと、かなり差がわかります。
急制動するとティアグラは、ググググッとシューとリムが密着しながらも、力を逃がそうとブレる感じが強いです。おそらくシューやキャリパーが歪むのかも。対して105はギューッと聞いて一気にスピードダウン。その後は低速時と同じ挙動。ティアグラのようなブレは感じません。
坂道。サイクリングロードの導入路で試しましたが、ティアグラの時はレバー握り込んでも思ったようにはスピードダウンしない。心持ち早めのブレーキが必要な感じですが、105はコントローラブル。かけたい時にかければ、思った通りに効いてくれる感じ。
早い時の速度同様、ティアグラのようなブレーキ時の振動は無し。つづら折りのヘアピンの下り坂でもキッチリスローインファーストアウトが決まります。
ティアグラの時は間に合わずアウトに膨らんでコースアウトしそうになったことがあったのでここは雲泥の差です。
今後、峠などのダウンヒル時には、ブレーキの良さを体感できるかも。
平地のサイクリングでも50kmも距離走ると、以前は意識してブレーキングを行う必要があったせいか、手が疲れてくることがありましたが、今回35km程度と少ない距離ではありましたが、手の疲れは感じませんでした。
2つのブレーキを交互に試したわけでは無いので、ティアグラの方は評価に誇張が入っているキライはあるかもしれません。
少なくともレバータッチは大幅に改善。少し引いただけで確実にスピードダウンし、そこからさらに引けば思い通りの位置に止める事ができます。ティアグラは思ったより前に出てしまう事がままあったので、今回、交換したことによる効果は確実に出ていると思います。
前輪はロックまではかけてませんが(前につんのめってジャックナイフ状態からの転倒が怖いので。)後輪は思い通りにロックさせる事ができます。ティアグラだとレバーを握りつぶす勢いじゃないとロックしなかったので。
簡単にブレーキロックができるMTBのVブレーキと違ってキャリパーの制動力が弱いのは、乗車姿勢や、制動装置としての目的(ロードは速度調整がメイン、MTBは不整地などイレギュラーなロードインフォメーションに対し、止まりたい時に止まれるもの)の違いもあるので、その辺りを考慮すれば十分な効きだと思います。
あとは、実際に峠など長い下り坂の時などに試したいと思います。
よく、ブレーキとホイール、タイヤは替えることで効果がかなり体感できると聞いていましたが、身を持って知る事が出来ました。
あとは、ホイールかな…。
※ 東條 誠…ローランドではなく、よろしく!メカドックの登場人物。二基のエンジンを搭載したピアッツァで主人公風見潤に挑むがブレーキの強化を怠ったことで、ハイパワーと重量増に対する制動力の不足が原因でリタイア。その後、Z31グレーサーZの風見潤にAW11 MR-2で挑む。その時に放った言葉が(グレーサーZは大柄なフェアレディZを4WD化したマシンだったので)「ゲテモノマシン」。
いやいやツインエンジンの方がゲテモノだってwww